・不動産を購入する際、個人名義と法人名義どちらが良いか?
・法人設立のメリットとデメリット
・富裕層が法人(資産管理会社)を設立する理由
不動産購入を検討されている方、もしくは、既に個人で不動産購入をされた方は、個人名義で保有すべきか、法人名義で保有すべきか、疑問に思われている方もいるのではないでしょうか?
今回は、法人設立のメリット・デメリットを中心に、どのような方が法人設立に向いているのか、記載していきます。
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第43話:資産運用会社設立のメリット・デメリット!富裕層が資産管理会社を設立する理由 https://youtu.be/rvFFf_BJjAE |
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資産管理会社とは?
資産管理会社とは?
資産管理会社とは、文字通り、「資産を管理するための会社」です。事業の主な目的が資産を管理することになります。海外では、この会社のことを「ファミリーオフィス」や「プライベートカンパニー」と言うこともあります。
資産管理会社が注目される理由
増税
所得控除の上限設定
それは、個人の負担する税金の増加です。
ご存じの通り、日本においては個人の所得に係る税金は、所得が多ければ多いほどかかる累進課税制度であり、その最高税率は55%(45%の所得税+10%の住民税)になります。
また、2019年10月からは消費税が10%となり、2020年からは「サラリーマン増税」と呼ばれるサラリーマンの実質税負担が重くなる制度改正もありました。具体的には、年収850万円を超える方の所得税控除の上限が変わり、控除額が少なくなってしまったことが挙げられます。
相続税基礎控除の削減
相続税についても、2015年1月1日以降、基礎控除額が3,000万円+(600万円×法定相続人の数)となり、従前の5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)と比べ、大幅に減少しました。法人設立により、相続税を引き下げることもできるため、法人設立が大きく注目され始めました。
つまり、個人の所得税は増税、法人税は減税の傾向が続いており、自ら能動的に節税対策をしなければ、税金が増えてしまう、という環境があり、この点からも資産管理会社設立が注目されています。
法人設立の気軽さ
これは最近のことではありませんが、以前に比べ法人設立のハードルが下がったことも要因として挙げられます。
現在、資本金は最低1円から法人設立が可能であり、また設立にかかる登記費用などは、一般的な場合、株式会社においては30万円未満、合同会社においては10万円未満、で設立可能となっています。
資産管理会社のメリット
所得税 節税効果
資産運用会社により、不動産収益を圧縮することができます。
より具体的には、
- 個人所得に関する最高税率55%に対し、法人は33%と圧倒的に少ない
- その他の事業で損失が出れば不動産収益との損益通算が可能
- 法人の場合、最長で9年まで損失の繰り延べが可能
- 不動産所得が直接ではなく、給与・報酬の形で入ることにより控除を受けられる
- 自身だけではなく、家族も従業員にし、給与・報酬を支払うことで法人経費として計上可能
- 家族である従業員が社会保険に加入することができ、その分を法人経費計上できるとともに、厚生年金への加入で家族従業員の将来の年金額が増加する
保険、携帯などの通信費、交通費、家賃・水光熱費などを法人経費として計上可能
※経費計上については、例えば、家族に従業員給与を支給する場合には、実態に即したものにするなど、一定の条件を満たすことが必要。
相続税 節税効果・対策
資産管理会社で不動産を所有することで、相続における選択肢が広がります。
より具体的には、
- 個人だけであれば一人に集中する資産を、個人・法人と分散し、相続税額を下げる仕組みを作れる
- 個人で家族への生前贈与の贈与税非課税額の上限は年間110万円までですが、家族を資産管理会社の従業員にすることで給与・報酬という形で110万円以上の資金を手渡すことが可能
- 資産管理会社の株式を分割し、相続争いを防ぐ仕組みを作ることが可能
- 株式贈与とする場合には、資産管理会社設立後3年以上経過していれば、相続税評価額を適用することが可能
その他
上記(1)(2)で税金周りのメリットを説明しましたが、実務面でもメリットがあります。
より具体的には、
- 本人に万が一の事態が起きた場合でも、資産管理会社であれば契約書名義なども法人になっているため、管理主体に継続性が生まれ、事業承継がスムーズになる
以上のように、資産管理会社を設立して不動産を所有することには、多くのメリットがあります。
資産管理会社のデメリット
では続いて、資産管理会社を利用して不動産を所有するデメリットを見ていきましょう。
法人設立コスト、維持コスト
より具体的には、
- 法人設立時の登記費用、司法書士手数料
- 毎月、毎期の決算にかかる税理士費用
- 法人事業税や、事業で損失が出ていても支払わなければならない法人住民税
- 社会保険料は一般的に、法人と従業員が折半して負担することになるため、社会保険料の負担が発生する
相続争いが発生する可能性
先ほどは、資産管理会社設立で株式分割ができ、相続財産を均等に分割しやすくなると記載しました。しかし、株式とすることで以下な新たな問題が発生します。
- 株式所有割合=経営権に繋がるため、経営権に関する相続争いが発生する可能性がある
資産管理会社の具体的スキーム
次に、実際に資産管理会社設立し、不動産事業を行う具体的な方法を見ていきましょう!
資産管理会社名義で不動産所有
これが王道のパターンです。不動産を所有し、事業主体となります。
売上=家賃収入、費用=不動産所有に係る費用、となります。
不動産経営の是非がそのまま収益に直結します。
資産管理会社で管理だけを行う
物件の所有は個人のままで、不動産の管理を資産管理会社で行うというものです。
売上=不動産管理料、費用=不動産管理にかかるコスト、となります。
このスキームのデメリットとしては、
- 当然、実際に管理をしている実態が必要
- 管理料を多くできない(一般的に不動産の管理料は賃料の3~5%程度です)
- 経費にできる項目が減る(管理だけのため、所有者であれば計上できる費用が計上できなくなります)
- 関係者が、オーナー個人、テナント、資産管理会社と3者間になることで手間が増える可能性がある
資産管理会社をサブリースという形で入れる
物件の所有は個人のまま、その個人とテナントとの間に、設立した不動産管理会社を入れるパターンです。
売上=サブリース賃料、費用=オーナー個人に支払う賃料、となります。
このスキームのデメリットとしては、
- 経費にできる項目が減る(サブリースだけのため、所有者であれば計上できる費用が計上できなくなります)
- 関係者が、オーナー個人、テナント、資産管理会社と3者間になることで手間が増える可能性がある
資産管理会社で不動産のコンサルティングを実施
物件の所有は個人のままで、その不動産運営に関するコンサルティングを資産管理会社で行うというものです。
売上=不動産コンサルティング料、費用=コンサルに係る費用、となります。
このスキームのデメリットとしては、
- 当然、実際のコンサルをしている実態が必要
- そもそもコンサルは毎期継続して必要なものとは限らない
- 経費にできる項目が減る(コンサルだけのため、所有者であれば計上できる費用が計上できなくなります)
- 関係者が、オーナー個人、テナント、資産管理会社と3者間になることで手間が増える可能性がある
従って、資産管理会社設立の最大のメリットである節税効果を得るためには、(1)の資産管理会社名義で不動産所有、事業主体となることが王道です。
資産管理会社設立を検討すべき方
では最後に、資産管理会社設立を検討すべき方について解説します。
年間330万円以上の不動産収入があり、その他の給与所得と併せ800万以上の収入がある
年間の不動産収入が330万円を超えると、所得税の税率が20%になります。この時点で中小法人に適用される法人税率の15%を超えるので、この分岐点以上の不動産収入がある場合は資産管理会社の節税メリットが発生します。
また、不動産以外の収入が500~700万円以上ある方は、不動産収入330万以上と併せて800~1000万円を超える年収となると思いますが、所得が900万円以上の場合、個人所得税率は33%、一方で法人税の場合は800万円を超えると法人税率が頭打ちとなり、資本金1億円以下の場合、実効税率は30%弱となります。
相続対策が必要である
例えば、現在のオーナーが高齢であり、相続対策を考えたいなど、将来における相続や事業承継について何らかの対策が必要という場合も、資産管理会社を設立することのメリットが考えられます。役員報酬の形で事実上の生前贈与を進める方法や、相続時の資産評価を有利にする方法などを使えるのも、資産管理会社があるからです。
不動産投資以外の事業がある(特に損益通算できる事業)
不動産投資以外に事業があり、事業間の損益通算が検討できる場合です。
不動産投資以外にも「お店をやっている」「株をやっている」というように個人レベルの事業を営んでおり、さらにその事業が時には赤字になることあるという場合は損益通算の節税メリットをいかすために資産管理会社の運用をオススメします。
いかがでしたでしょうか。
少しでも皆様にお役に立てる記事でしたら、幸いです。
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・法人設立のメリットとデメリット
・富裕層が法人(資産管理会社)を設立する理由
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