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【マンション】
総戸数なんと5,632戸の巨大開発!オリンピック延期で引渡し延期、心配。。選手村「晴海フラッグ」の今後!

今回の記事で分かること

・晴海フラッグの開発計画概要
・晴海フラッグ開発の問題点
・契約状況とオリンピック延期の影響
・今後の晴海フラッグの価格予想

シマ
シマ
皆さん、こんにちは。シマです(@fudousan_jisho)。今回はオリンピックの延期で話題のマンション、晴海フラッグについて解説します。

今回の関連動画↓
不動産の辞書チャンネル

第48話:オリンピック延期でどうなる!?選手村「晴海フラッグ」!
https://youtu.be/7kD4WB0CPGk

晴海フラッグの概要

まず、晴海フラッグの計画詳細を改めて確認してみます。

立地、交通アクセス

電車アクセスでは、都営大江戸線「勝どき」駅から徒歩約16~21分です。


(引用:晴海フラッグ公式HP)

完成予想イメージ


(引用:「東京都都市整備局」HP)


(引用:晴海フラッグ公式HP)


(引用:晴海フラッグ公式HP)

開発計画詳細

今回の分譲デベロッパーのリーディングカンパニーである三井不動産が作成したプレゼンテーション資料に詳細が記載されています。

スクリーンショット (3026) スクリーンショット (3025)

賃貸も含めると総戸数は5,632戸分譲だけであれば4,145戸になります。

スクリーンショット (3028)

日本のマンションデベロッパーベスト10!オールスター!と言っても過言ではないぐらい、日本を代表するデベロッパーが共同プロジェクトとして参画しています。これだけ多くの企業が参加するプロジェクトということは、それだけ大きなプロジェクトということになります。

晴海フラッグ開発の問題点(訴訟)

皆さんは、晴海フラッグの土地取得に関する訴訟をご存じでしょうか?

騒動の発端

発端は、今回のデベロッパーが取得した土地の値段が安すぎることにあります。
今回の晴海フラッグプロジェクトはオリンピックも絡んだ一大プロジェクトであり、分譲には上記のデベロッパー連合が参加しています。

2016年末、東京都から三井不動産など開発業者への売却価格は、129億6000万円(9万6784円/㎡)。選手村の近隣の晴海3丁目の16年の 公示地価(商業地)は、132万円ほど。実際には、住宅地での利用が多いため、商業地だけを比べるのは不十分かもしれませんが、それでも実際の近隣の地価であり、それと比較すると10分の1以下で、9割引きです。

住民訴訟

この事態に、不満を抱いた住民による東京都への監査請求を経て、東京地裁で訴訟となりました。住民訴訟の口頭弁論では、原告側は「五輪の選手村に使う特殊要因を考慮しても土地価格は1653億円が妥当とし、129.6億円の販売価格との差は1500億円規模」と指摘。 東京都に税金を支払う側の住民としては、この払い下げ価格は西多摩郡檜原村の地価と同水準と言えるほど安いと、不当な廉売を訴えました。

東京都民からすれば、本来であれば、もっと土地売却による都の収入を得られたにもかかわらず、その機会を逸したということになりますので、税金を支払う側としては、確かにこれは大きな問題です。

不動産鑑定士協会からの疑問の投げかけ

また、不動産の価格を求める国家資格である不動産鑑定士からも、今回の土地代金に対し、疑義が発生しています。今回の売買に先立ち、晴海フラッグの土地は、東京都の依頼により、国内最大手の不動産鑑定会社で一般財団法人の「日本不動産研究所」により、「開発法」という手法で求められました。厳密には、「鑑定評価書」ではなく、「調査報告書」というものに基づいています。
この事態に対し、不動産鑑定制度研究会など、日本不動産研究所以外の鑑定士が都議会対して専門的な意見書を送って選手村問題に疑義を呈しました。

具体的な内容は、

  • 土地価格を算出するのに荒っぽい開発法のみを使っている
  • 土地価格を決める場合に重要な取引事例比較法を無視
  • 周辺にある東京都地価調査価格(東京都中央区の「中央-3」の㎡単価95万円)との比準(比較)をしない
  • 仮に売り渡し価格を激安にできる開発法を認めたとしても、そこで求めるべき素地価格のベースに、誤って収益還元法を採用した(収益価格からさらに販売費および一般管理費を差し引きすることによってコストの二重計上をして故意に安くする単純ミスを重ねている)
  • 収益還元法に採用されている住宅店舗賃料は、極端に低い賃料事例を用いて計算している
  • そもそも開発法に採用されている分譲事例価格そのものも極端に安く、逆に採用された建築工事費を高く設定。結果、処分価格が極めて安くなっている
  • 都有地のため路線価は設定されていないが、推定される固定資産税課税標準額よりはるかに低い価格で処分された(時価を超える部分への固定資産税課税を否認した最高裁判例趣旨に違反)

というものであり、ここから、

  1. 土地価格は選手村を建築することによって1割以下に激減することはあり得ない
  2. 晴海選手村都有地の平均売却価格1㎡単価9万6800円は八王子市住宅地の平均12万2700円(平成28年東京都地価調査)より低い価格水準、
  3. 土地価格は、1611億1800万円(1㎡単価120万円)が妥当で、都が処分した価格との差額は1481億以上に達する、

という判断がなされています。

売却価格が大幅割引となった理由

そもそも、なぜこれまでの安価で取引となったのでしょうか?
その理由は、今回の土地が東京都が所有者である「市街地市街地再開発事業」だったからです。晴海フラッグの土地において東京都は、用地の地主、再開発許認可のトップ、そして再開発事業の施行者という異例の「一人三役」という状態でした。

市街地再開発事業による土地の処分には、近傍類似の土地等の価格を考慮して定める相当の価格で縛る規定(都市再開発法80条)があります。しかし、権利者全員(晴海の場合は東京都だけ)の合意があれば、任意の価格で売買できるとなっています。この規定を使い、都は法外な大幅安で土地を売却、晴海フラッグの開発プロジェクトをデベロッパーに早々に移譲しました。都議会や都の財産価格審議会も安値販売を問題にはしませんでした。

また実際には、東京都は、選手村の基盤整備に400億円以上を投入しており、オリンピック開催の際の選手村の家賃も実質的に負担することになります。加えて、デベロッパー各社は、土地の代金支払いと所有権移転の時期を五輪後に先延ばしされているため、これにより金利負担が軽減され、固定資産税の課税期間もかなり短縮できることとなっております。東京都の実質負担は多額となっています。

最終的な折衷案

最終的に、東京都と事業者は、五輪後のマンション分譲事業の収益をさらに分け合うことで合意しました。堅調な不動産市況を受けて当初想定より高く売れそうだということで、高く売れた分の1%(28億円)を超える分については、東京都とデベロッパー各社で折半することとになりました。

東京都関係者によると、これは200億円を上回り、東京都に入る分も100億円を超える可能性があるそうですが、それでもそもそもの1500億円の値引きに対して、仮に200億円となった場合でも、割引額が依然として大きいと言わざるを得ません。。

契約状況とオリンピック延期の影響

契約状況

第1期分譲により、現在約900戸が契約済となっています。
第1期分譲分は平均倍率2.57倍、最高で71倍という部屋もあり、上々の人気で終わりました。

オリンピック延期の影響

今回のオリンピック延期により、以下のような影響が考えられます。

マンションとしての影響

引渡し時期が遅れる

既にマンションデベロッパーからは、オリンピック延期による引渡しの1年延期が通知されています。

BTS整備が遅れる

BTSは晴海フラッグ内及び首都圏の主要エリアをつなぐ交通として作られる予定ですが、BTSは一定規模以上の人員が揃ってから稼働の準備がされるということになっています。従いまして、もし入居者が集まらなければ、BTS整備が遅くなり、都心主要エリアまでのアクセスが悪くなることが考えられます。

学校建設が遅れる

晴海フラッグの建築にあたり予定されていた学校建築も遅れる通知が出ています。

 住民への経済的な影響

オリンピック延期で実施の場合

(プラスの影響)

  • 現状特になし

(マイナスの影響)

  • 入居時期が遅れ、人生設計に大きな影響
    (たとえば、子どもの入学先が異なる、通勤に係る時間が変わらない等)
  • 入居時期が遅れ、その分の費用(1年分の家賃や更新料発生)
オリンピック中止の場合

(プラスの影響)

  • 選手村として使うことが無くなれば、すぐに分譲マンションに向けたリノベに取り掛かれる
  • 引渡し時期が早まる可能性

(マイナスの影響)

  • オリンピックレガシーとしての魅力が減少
  • 価格下落要因に繋がる可能性

その他、2020年3月には、小池東京都知事が晴海フラッグをコロナ感染者の一時、待機場所にする可能性にも言及しましたが、現在のところ、そこまでには至っていません。もし、コロナ感染者の待機場所となることがあれば、価格下落の要因となり得ると思います。

また一説には、2024、2028年オリンピックの次の2032年に応募するという話もありますが、そこまで晴海フラッグを引っ張ることは非現実的だと思いますので、個人的には、この案はないと予想しています。

デベロッパーの対応

今回のオリンピック延期により、第一次分譲となった購入者は、契約解除も検討できることとなりました。

一般的に、不動産の売買契約を締結する場合、売買代金の5~20%を手付金として納めるのが一般的です。手付金については、細かく分けると①解約手付、②違約手付、③証約手付、という3種類があるのが一般的ですが、晴海フラッグのような新築分譲マンションである場合、通常は①の解約の性質を帯びさせることが多いです。契約を解除する場合、買主の事情であれば手付金放棄、売主の事情であれば手付金倍返しが通常です。

また通常、売買契約書には、今回のコロナのような不測の事態の発生についても記載していることが一般的で、このような不測の事態の場合には、売主・買主どちらにも責任があるとは言うことはできません。しかし、売主は今回の特殊な事態を勘案し、第一期分譲の購入者に対し、契約解除を認め、契約解除の際には受領した手付金の返還をする、と通知したのです。これは、売主であるデベロッパー側の譲歩と言えます。

もしくは、契約書に定めのない事項が発生した場合には、双方誠実に協議をする、という文言が入ることも一般的ですので、それを適用したと考えることもできます。

実際には、現在までのところ、解約を申し出た方はほとんどいらっしゃらないと聞いています。購入者も含め、現在はまだ様子見という段階かと思います。

今後の晴海フラッグの価格予想

周辺のマンション相場

まず周辺のマンション相場を見ていきましょう!

スクリーンショット (3030)

従って、晴海フラッグは、平均の専有坪単価が300万円程度(最安値専有260万/坪程度~)であり、非常に割安感のある売り出し価格だと言えます。

デベロッパーの販売戦略と価格予想

従前のデベロッパーの販売戦略としては、分譲後なるべくすぐに完売させるよう、売れ残りを防げるよう、多少ディスカウントしても売却してしまうということが通常でした。

しかし、最近のデベロッパーの販売戦略としては、元々は住友不動産が採用していた戦略なのですが、売れ残り住戸についても売り急ぐことはせず、その価格で購入したい買主が現れるまで待つ、という方針に切り替える傾向が多かったと感じています。実際、住友不動産は、値下げをせずに、その分の固定資産税や維持費、買主探索に係る広告費・人件費はかかってしまうものの、当初設定した金額で売り切ることにより、利益を確保していました。
リーマンショック後、不動産デベロッパー業界の寡占化が進み、大手不動産会社の資金的体力があることも理由の一つです。

しかし、今回については、しかし、今回のオリンピック延期により、上述したマイナス面の影響が大きくなり、デベロッパーが価格を下げざるを得ないということもあり得るかと思います。私は、中には早期に売却することを目指すデベロッパーがいるのではないか、値下げするデベロッパーもいるのではないか、と予想しています。

なぜなら、今回は多数のデベロッパーが集まっての分譲プロジェクトです。売れ残りが多ければ、それだけ各分譲デベロッパーの調整が長引くこととなり、各デベロッパーがなるべく早くこのプロジェクトを完遂したいと考えているのではないかということ、もう一つが上述のように、そもそもの土地取得費が抑えられていることから、もう少し安くしても利益が出るのではないかということです。

開発法を用いてデベロッパーの価格弾力性を予測

実際に、デベロッパーが土地取得の際に使う価格手法を用いて、想定して計算した内容を後日掲載します。

私の見立ててでは、多少価格を下げても利益が確保できるので、オリンピック実施の状況及びマーケットの状況を見て、値下げはありえなくもないかと思います。

但し、足元の首都圏住宅マーケットは引き続き活況です。

新築マンションの価格も上昇基調です。

(引用:東日本レインズ)

また、中古マンションの成約件数が増え、在庫は減り、成約価格上昇しているため、中古マンションマーケットも好調であるとみることができます。

従って、個人的には、価格を下げる可能性も他の分譲マンションに比べれば高いものの、デベロッパー自身も現在のマーケット環境が続けば、現在マーケット状況を読みながら、なるべく下げないように販売していくと思います。

投資用として想定した場合

また本物件は、平均住戸面積が大きく、また駅からの距離も遠いため、投資用にはあまり向いていません。どちらかといえば、想定される購入者は、自宅として利用するファミリー層になります。

スクリーンショット (3029)

このようにして計算すると、表面の利回りでも決して高いとは言えませんね。。
また、上述のように駅からも遠く、面積が大きいため、リーシング(テナントを見つける)は簡単ではないと思います。上記を踏まえると、晴海フラッグはやはりマイホーム家族向けの物件と言えます。

今日のまとめ

・晴海フラッグの開発計画概要
・晴海フラッグ開発の問題点
・契約状況とオリンピック延期の影響
・今後の晴海フラッグの価格予想

いかがでしたでしょうか。
少しでも皆様にお役に立てる記事でしたら、幸いです。

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