・築古物件を購入・投資しても良いのか否か?
・築古物件のメリット・デメリットとは?
・築古物件ならではの注意点
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不動産投資の中でも「築古物件」への投資は、安く始めることができるから儲るのでは?と考える人が少なくありません。確かにポイントを抑えて購入をしていけば、築古物件は儲る可能性の高い投資先と言えます。実際に、なかには割安物件でお宝物件と言える物件があることも事実です。
しかし、きちんとした知識が無いままに購入し、運営すると失敗する可能性もあります。実際、築古物件には「古いことによるリスク」があり、そのままでは住めないことも少なくありません。そのため、築古物件への投資は、「古い」というリスクをカバーする知識やノウハウが必要になってきます。特にリフォームや、客付けのノウハウも欠かせません。
築古とは?
築古とは?
突然ですが、皆さんは築古と聞いて、築何年の物件を想像しますでしょうか?
築古とは何年経過した物件のことを言うのでしょうか?
実は、この築古という言葉、結構あいまいで、人によっても基準や価値観が違っていたりします。人によっては築20年経過しているともう築古という人もいますし、その一方で、20年であればまだまだ、40年以上でようやく築古と感じる人もいます。
実際、他国を見てみると、欧米では不動産の流通量の大半は中古物件が占めており、イギリス等では、古い趣のある建物の方が価値を見出されたりします。
個人的な経験的には、築30年を経過している建物は築古といえるかと思います。
この判断の根拠は、不動産はおおよそ10年に一度大規模修繕を実施することとされていますが、築30年であれば、2回の大規模修繕を経て、3回目となるからです。
新耐震と旧耐震の違い
旧耐震という言葉を聞かれたことはありますでしょうか?
日本では1981年6月から建築基準法の耐震基準が変更となりました。
それまでに、たとえば昭和53年の宮城県沖地震など大きな地震を経験しており、その変更の必要性が叫ばれていました。
それ以前に建築申請を提出した物件を旧耐震、それ以降に提出した物件を新耐震と呼びます。つまり、今から約40年以上前に申請された建物は旧耐震である、ということです。
旧耐震
昭和56年(1981年)5月末以前
震度5程度の地震に耐えうる建築物
新耐震
昭和56年(1981年)6月以降
震度6強以上の地震で倒れない建築物
この昭和56年6月というのは、建物完成時点ではなく、建物申請時点であることに注意が必要です。
たとえば、昭和56年1月に申請して、半年後の昭和56年6月に完成した建物は、旧耐震の物件となります。
旧耐震物件の耐震化の実態
東京都で見てみますと、東京都は都内にある旧耐震基準の分譲マンションにつき、耐震診断を行っています。
(引用:東京都マンション実態調査(2013年))
その中で耐震性に問題のあるマンションは17.1%にも上りましたが、その中で実際に耐震改修工事を実施した割合はわずか5.9%でした。
特に東京都であれば、世田谷区、港区、新宿区、渋谷区といった区で旧耐震の割合が高い傾向がありました。
耐震補強工事は一般的に、
- 費用がかかる
- 物理的に工事が難しい(前面道路の通行量)
- テナントや住民の承諾、場合によっては補償も必要
といったハードルがあり、なかなか進まない現状もあります。
築古物件の購入・投資のメリット・デメリット
では、築古物件のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
購入価格が安い!
一番のメリットは安さだと思います。場所によっては数百万円以下という物件や、中にはオーナーが高齢で税金負担や管理もできないため、タダ同然でも手放したいと考えているような物件もあります。
不動産購入や投資において最も重要なことは、「安く仕入れる」ということになります。
安く仕入れられれば、その分ローン返済も早まり、また、投資であれば投資リターンも増えます。
税金が安くなる
特に建物に関しては、税務上の耐用年数を満了していたりする場合、税金が安くなります。
減価償却を取りやすい
築古物件については、上記のように建物・設備が既に耐用年数を満了済、もしくは、満了までの期間が短いということがあります。そうすると、購入後の毎年の減価償却額計算上の償却期間が短くなり、毎年の減価償却額が大きくなると、その分物件の利益が少なくなるため、節税につながります。
意外と多い築古好き、築古マーケットの存在
日本人は良く新築信仰と言われることが多く、多くの世帯が新築マンションを好むというように言われています。
ですが、実は中には築古の物件を好む方も多くいらっしゃるのも事実です。私も実務を通じて、築古物件ばかりを狙う、投資する方を多く見てきました。
思ったより、築古物件マーケットの需要があると考えても良いと思います。
デメリット
ローン審査が厳しい
その他の投資と比べた不動産投資最大のメリットは、レバレッジを効かせられる、つまり、ローンという他己資本を使って投資を行うことができるということです。
しかし、築古物件については金融機関の審査が厳しくなります。
築○年以上はそもそもNGとか、もしくは、ローンを出せるけど貸出比率が低かったり、金利を安くしてもらえなかったり、様々なハードルがあります。
金融機関押しては、
- 担保割れになるリスク(築古で需要者がつかない等)
- 物的損傷リスク(災害などで物件が棄損する等)
から、融資に消極的になるということが挙げられます。
しかし、一定の条件のもとで融資をする金融機関があるものまた事実です。
たとえば、「耐震基準適合証明書(適合証明)」を取得し、新耐震基準を満たすことを証明する、などです。
コストがかかる
築古物件にはコストがかかります。このあたりはメリットで話した取得価格や建物の税金が安い、ことの裏返しでもあります。
- リフォームコスト
- 修繕維持コスト
- 管理コスト
- 保険料
築古物件は、損傷しやすい、管理を委託する場合、その管理を受託してもらえる管理会社を見つけるのに時間がかかるということがあり得ます。月々の保険料も、高くなります。
テナントとのトラブル
このように言うと語弊が生じてしまうかもしれませんが、一般的に、築古物件の家賃は当然ながら、新築物件よりは安いことが多いです。
テナントとして入居される方もその安さを気に入って入居されることになるため、新築物件に比べて、テナントのトラブルが起きやすいというのは、私の実務経験を通した感覚です。
築古物件の購入を検討しても良い方
物件のリスクを見極められる
上述のように、築古物件には様々なリスクがあることは事実です。
そのリスクを購入前にきちんと把握できる場合には、購入検討しても良いと思います。
リスクとして改めて列挙すれば、
- 耐震性
- 修繕履歴、今後発生する修繕費用
- 維持管理コスト
- 管理会社を見つけられるか否か
- テナントを見つけられるか否か
- 入居テナントのトラブルリスク
- 保険料
などです。
手持ちキャッシュがある程度ある人
上述のように、築古物件については、ローンを出す金融機関が消極的になることを予め心しておく必要があります。希望のローン金額が出ない場合でも、購入・投資をするためには、ある程度のキャッシュが必要です。
逆に言えば、キャッシュがある方については、ない方に比べて競争優位性があるため、優先して購入できる可能性があります。
実際に多くの投資家がボロ戸建、ボロアパートを仕入れて大儲けし、利益をまた別物件の投資に回すということをして大儲けしている事例もあります。
リノベ、リフォーム、DIYの知識があり好きな人
築古物件は多くの場合、購入・投資後に、リノベ、リフォーム、DIYが必要な物件が多いです。
一口にリノベと言っても、どのレベルまでやるのか、どこの業者さんに見積もりを依頼するのか、どこは自分でやるのか、等の判断が必要になってきます。
お手頃な料金で綺麗にリノベできれば、高い賃料でテナント誘致できる可能性もあります。
上記を記載すると、「そんなに全ての要素はそろってないよ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、既に成功しているボロ戸建、ボロアパート、ボロ物件投資家も最初の1棟は全て完ぺきだったわけではないと思います。
投資を増やしていくうえで徐々に慣れていくということもありますので、上記はあくまで参考にして頂ければと思います。
購入前チェック(物的、法的、経済的、環境的)
ここで私の実務経験も踏まえ、購入前にチェックできると良い項目を記載します。
まず大前提として、必ず現地確認、内見を実施しましょう!
大手有名デベロッパーが開発した新築マンションなら百歩譲って内覧しないでもアリだと思いますが、築古物件であれば、絶対に絶対に現地確認をして内見をしましょう!
もし可能であれば、リノベ・リフォームの専門家を同席させることを強くお勧めします!リフォーム費用が適切に算出できると、正確な収支を計算しやすくなります。
物的チェック
構造関係
柱、屋根、床(床下)、外壁
柱、屋根、床といった構造上重要なポイントを抑えましょう。床下のシロアリ被害や過去の浸水被害なども考えられますので、ここも確認するようにしましょう。
特に集合住宅の場合、スラブ(床の荷重を支える構造床)の厚さや、防音のフローリングなどの対策がされているかをチェックしましょう。また、防音のリフォームが必要な場合、リフォームの制約になるポイントが無いかどうかも確認しておきましょう。
外壁や基礎部分のヒビ割れ、表面のはがれ、雨によるシミがないかをチェックします。特に基礎部分の大きなヒビ割れは、放置期間が長いと強度の低下による地盤沈下が起きている場合もあります。合わせてチェックしておきましょう。
内装や外装、屋上
内装や外装の痛み具合を確認しましょう。
特に外装や屋上の塗装や防水は、雨天の際の雨漏りなどを防ぐために重要な部分ですので、亀裂・破損が生じていないか、雨漏りが発生していないか、確認しましょう。
天井や壁にシミが発生している場合、雨漏りや屋根裏の結露、給排水管の水漏れがあるかも知れません。たまに、ネズミや猫、コウモリなどが住み着いていて、その尿でシミになっていることがあります。家具があれば動かして、隠れたシミが無いかも見ておきましょう。シミがあるなら天井裏や、屋根裏をチェックしましょう。
また、天井の低さや、梁で圧迫感があると敬遠される場合がありますので、同時にチェックしておきましょう。
水回り設備関係
水回りは特にキッチン、トイレ、お風呂です。
水道管のさびやつまり、などがないか、蛇口をひねって確認するようにしましょう。
電気設備関係
電気の配線や電気容量、また空調や換気扇の状態もチェックしましょう!
現在の契約アンペア数が低い場合、住人によっては「アンペア数を上げたい」という要望があるかも知れません。こうしたケースにも備えて、現在の契約アンペア数だけでなく、容量アップが可能かどうか、また配線工事が可能かどうかもチェックしましょう。工事が必要な場合は、費用も同時に確認しておきましょう。
空調機器が設置されている場合、機器に不具合がないかを確認します。また全館空調の場合は、電気の使用量が規定に収まっているかもチェックしましょう。
換気扇は回るだけでは意味がありません。しっかりと空気を吸い込み、外に排気されるかどうかもチェックします。キッチン、トイレ、風呂場それぞれの換気扇を回して、ちゃんと空気を吸い込んでいるかチェックしましょう。また外から排気口をチェックし、排気が行われているかも確認します。
法的チェック
その建物に違法性がないかを調べます。
良くあるものとしては、
- 建物の建築確認申請、検査済証がなく、建物の遵法性が示されない
- 耐震基準を満たしていない
ということが挙げられます。
また違法ではないものの、既存不適格というものがあり、築古物件はこの既存不適格に該当しがちです。
既存不適格とは、建築当時の法規制・条例では問題なかったものの、その後の改正により現行の法規制・条令を満たさなくなったものになります。
築古の物件でかなりの高確率で見られるのが、エレベーターです。現状のエレベーターに関する耐震規制は厳しくなっており、多くの築古物件は既存不適格の指摘があります。
違法の項目は×、既存不適格の項目は△として、物件を見るようにしましょう!
経済的チェック
経済的チェックとは、その物件を購入、所有、場合によっては賃貸や売却を想定した場合の、収入と費用を指します。
環境的チェック
物件内の環境チェック
環境的チェックは、たとえば、アスベストやPCB、土壌汚染などがないかという、
周辺の環境チェック
また、対象物件の価値に影響を及ぼすようなものがないか否かをチェックします。
たとえば、
- 交通量が多すぎないか、
- ゴミ屋敷、ごみ処理場、工場、墓地などの心理的嫌悪感に繋がるような施設がないか否か
- 近隣環境や周辺住民の雰囲気
などになります。
築古物件の成功・失敗のポイント
成功に向けて
- 上記の物的、法的、経済的、環境的チェックをしっかり行う
- なるべく融資してもらえる金融機関を探し、最大限融資を活用する
- 購入の際、売主の売却希望理由に応じて極力交渉し、価格を抑える
- エリアの調査や賃貸のしやすさを調べ、想定収支をシミュレーションする
- リフォーム、リノベを工夫、なるべく費用を抑え、かつ、価値を最大化させる
- 管理を依頼する場合には、適切な管理会社に管理を依頼する
- 必要なリスク回避を行う(例、火災保険に入る等)
築古物件は、自らの創意工夫が試される場面が新築より多くあります。
購入者、投資家の腕の見せ所と言えるでしょう!
失敗しがちな傾向
- 上記の物的、法的、経済的、環境的チェックを怠る
- 想定収支の算出が甘い、特にリノベ・リフォームに係る費用見積もりなど
- テナントがつけられない
- 再販を考えていないため、次の買主が見つからない
以上になります。
いかがでしたでしょうか?
・築古物件を購入・投資しても良いのか否か?
・築古物件のメリット・デメリットとは?
・築古物件ならではの注意点
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